2019年6月12日 更新

石狩沼田幌新事件の詳細!熊襲撃事件全容や被害状況と事件の原因とは

石狩沼田幌新事件をご存知ですか?この事件は日本三大獣害事件の一つです。この記事では事件の詳細や事件の原因、射殺されたヒグマについて解説しています。日本三大獣害事件やその他の熊襲撃事件についてもまとめてみました。熊に遭遇した場合の対処法も紹介しています。

石狩沼田幌新事件とは?

Bear Brown Nature - Free photo on Pixabay (366458)

石狩沼田幌新事件とは大正12年に北海道雨竜郡沼田町の開拓地で起こったヒグマによる襲撃事件です。夜の山道を歩いていた開拓民の一団がいきなりヒグマに襲われたのが事件の始まりでした。

事件当日、沼田町の恵比島地区では「太子講の祭り」が開催されていました。太子講の祭りとは、聖徳太子を職人の神として讃える祭りで、普段から娯楽の少ない開拓地では、こういった祭りは数少ない娯楽行事の一つでした。

そのため、職人だけではなく、近隣の村落からもたくさんの人が訪れていました。この事件はその祭りの後に起こった獣害事件です。一匹のヒグマがもたらした惨劇は、瞬く間に沼田町内に知れ渡り、住民たちに恐怖と絶望を与えると同時に、彼らをヒグマ討伐へと駆り立てました。

石狩沼田幌新事件詳細

European Brown Bear - Free photo on Pixabay (366461)

石狩沼田幌新事件は日本三大獣害事件の一つですが、当時の資料があまり残っていないことや、数少ない資料にもところどころ食い違いがあるため、正確な情報を掴むのは難しいですが、分かっている情報をもとに、この事件の全貌をたどってみました。

祭りを楽しんだ一団を襲ったこの事件は、彼らを天国から地獄へと突き落としました。ある者はいきなり背後から襲われ、またある者は一撃のもとで命を奪われました。重傷を負わされた後で、生きたまま土の中に埋められた者もいました。

でも、これは、始まりに過ぎませんでした。暗闇の中に突如現れた獰猛なヒグマによってもたらされた悪夢のような時間は、この後も、そして翌日以降も続いていくのです。

事件の起きた場所

Japan Tokyo Fuji - Free image on Pixabay (366496)

石狩沼田幌新事件が起きたのは、北海道雨竜郡沼田町の幌新地区でした。現在の沼田町は水田が広がる北海道の米所ですが、開拓以前の沼田町は面積の八割が原生林に覆われていました。

明治15年に北海道に渡り、小樽で精米を始め、のちに東京以北では最大の精米メイカーとなる合資会社「共成」を起こした沼田喜三郎が、明治27年に故郷の富山県から18戸の移住を勧誘して入植したのが、沼田町の開拓の始まりと言われています。

この地では事件が起きる前からも開拓民とヒグマの接触事故は頻発していました。通学途中の小学生がヒグマに襲われて内蔵を食べられたり、農作業をしていた若い女性が襲われて瀕死の重傷を負ったりしていたのです。

最初の襲撃

Bear Medvekarom Paw - Free photo on Pixabay (366559)

祭りの余韻に浸りながら帰路についた開拓民の一団をヒグマが襲ったのは、大正12年8月21日の深夜のことでした。最初に襲われたのは、一団から少し遅れて、50メートルほど後ろを歩いていた林謙三郎(19)でした。彼はいきなり背後から現れたヒグマに襲われます。

ヒグマの攻撃で負傷したものの、致命傷ではなかったため、彼は着物や帯を切り裂かれながらも必死に抵抗してその場から逃げ出すことに成功し、急いでこのことを一団の最後尾にいた人たちに知らせました。

ところが、謙三郎を襲ったヒグマは先回りをして、先頭を歩いていた村田幸次郎(15)を一撃で撲殺し、隣にいた幸次郎の兄の由郎(18)に重傷を負わせていたのです。突然のヒグマの襲撃にパニックに陥った一行はその場から慌てて逃げ出しました。

屋内での襲撃

Hut Cabin Settlers - Free photo on Pixabay (366521)

逃げ出した一団をよそに、ヒグマは重傷で動けない由郎を生きたまま土の中に埋め、幸次郎のお腹に食らいつきました。ヒグマが幸次郎の内臓を嚥下する音が闇夜に響き渡る中、一団は300メートルほど離れた場所で木造平屋建ての農家を見つけ、そこに逃げ込みました。

ヒグマの追跡を恐れた彼らは、ヒグマを追い払うために火を焚き、押し入れや屋根裏に身を隠し、ヒグマが追ってこないことをひたすら祈りました。しかし、彼らの願いも虚しく、30分ほどして現れたヒグマが玄関から侵入してしまいます。

侵入を阻止しようとした村田兄弟の父親・三太郎(54)がヒグマの一撃で重傷を負い、部屋の隅でおびえていた三太郎の妻・ウメ(56)がヒグマに咥えられ、屋外へと連れ去られました。ウメの助けを求める悲鳴はやがて念仏に変わり、しばらくすると、その声も聞こえなくなりました。

襲撃の次の日

Bear Paw Beast - Free photo on Pixabay (366562)

悪夢のような一夜が明けた翌日の朝、妻子を奪われた三太郎をはじめ、みんなが憔悴しきっていました。当時の農家にはヒグマに対抗できる銃などはなく、唯一の手段が火を焚くことでした。しかし、昨夜はそれも通用しませんでした。

そのため、対抗手段がない彼らは、一晩中、ヒグマの再襲来に怯えていたのです。やがて、農家の前をたまたま通った村民から、ヒグマがもういないことを知らされた彼らは、そこでようやく安堵することができました。

そして、彼らは村田兄弟と連れ去られたウメの捜索を開始しました。ほどなくして藪の中でウメを発見したものの、彼女は下半身をすべて食べられた状態で絶命していました。さらに土の中に埋められた由郎も発見し、まだ息があったので急いで病院に運びましたが、治療の甲斐なく、数日後に死亡しました。

ヒグマ退治に行った狩人

Bear Brown Predator - Free photo on Pixabay (373800)

その翌日、瞬く間に沼田町全域に広まったこの惨劇を聞きつけて、熊撃ち名人として名高い砂澤友太郎をはじめとする狩人たちが集まりました。その中でも、恵比島集落在住の狩人・長江政太郎はこの話を聞いて怒り狂っていました。

長江政太郎を「雨竜村伏古在住のアイヌの狩人」とする諸説もありますが、定かではありません。政太郎は憤慨するあまり、周囲の人間が止めるのも聞かずに一人でヒグマ退治に出かけました。

しかし、山の中から銃を発砲する音が何度か聞こえた後、政太郎はそのまま行方不明となってしまいます。怒りのあまり単独で山に入ってしまったこの狩人は、後日、頭部だけが残った状態で発見されました。

ヒグマの討伐

Bear Brown Teddy - Free photo on Pixabay (373803)

翌日の8月24日、幌新、恵比島の高齢者を除くすべての男たちと、在郷軍人や消防隊や青年団を含む合わせて300人あまりの応援部隊が合流してヒグマ討伐隊を結成しました。

討伐隊が山に入ってしばらくすると、討伐隊の動きを察知したかのように、ヒグマは討伐隊の背後に回り、最後尾を歩いていた上野由松(56)を急襲しました。不意を突かれた由松は死亡し、そばにいた折笠徳治が重傷を負います。

討伐隊は一瞬ひるんだものの、除隊直後の軍人がすかさずヒグマに向けて発砲します。これが命中し、動きを止めたヒグマに対して、討伐隊が一斉射撃を浴びせました。こうして凶悪なヒグマは討ち取られ、事件はようやく幕を閉じたのです。

事件が起きた原因

Animal Equine Foal Domestic - Free photo on Pixabay (366564)

クマが家畜や人間を襲って食べるのは、冬眠するための穴を見つけられずに「穴持たず」となった場合が多いです。穴持たずとなったクマはお腹をすかし、気が立っているので、普段より凶暴性が増します。

ところが、この事件が起こったのは夏でした。それなのに、なぜこのヒグマは人間を襲ってきたのでしょうか?その答えはヒグマが開拓民の一団を最初に襲った場所にありました。

その場所には馬の死体が埋められていたのです。ヒグマは数日前からこの馬の死体を少しずつ食べていました。そこへ人間がぞろぞろと現れたことにより、保存食を狙う外敵だと勘違いして襲い掛かったのではないかと言われています。

射殺されたヒグマについて

Brown Bear Zoo - Free photo on Pixabay (366467)

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