2019年9月23日 更新

リマ症候群とは?在ペルー日本大使公邸占拠事件についても

誘拐や監禁の場合、通常と異なる心理状態になるのは被害者も加害者も同じです。被害者ばかりに注目が集まりますが、実は加害者側もリマ症候群と呼ばれるPTSDの一種を患うことがあります。今回はリマ症候群を紹介し、実際に起こった悲しい事件を紹介します。

1970年3月31日、日本で初めてとなるハイジャック事件が起こりました。共産主義者同盟赤軍派の9人が日航機よど号を乗っ取り、福岡空港経由でピョンヤンへと渡らせました。しかしピョンヤンだと偽って韓国に着陸されたことがばれ、犯人たちのピョンヤン行きへの要求と政府側の人質解放の要求で事態は平行線をたどっていました。

運航乗務員を除いて人質は順次解放され、身代わりとして山村新治郎運輸政務次官が飛行機に搭乗し、ピョンヤンへと向かいました。到着後は犯人グループは亡命し、残りの人は無事に帰国しました。

パトリシア・ハースト事件

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1974年2月4日、大学2年生であったパトリシアは恋人といたところを武装した2人に襲われ連れ去られました。その後、犯人グループからパトリシアの人質解放の代わりにカリフォルニア州の貧民にお金を提供することを要求しました。

4月15日、犯人グループは銀行を襲撃しますが、そこに誘拐されたパトリシアも銃を持って犯罪に加担している様子が防犯カメラに映り、世間は騒然としました。その後も「タニア」と名乗って逃亡生活を続け、組織の同志となったことを宣言しました。

FBIによって逮捕されましたが、加担したのは殺されないための戦略であり、洗脳状態であったと弁護団は主張し、大統領からの特別恩赦や保釈金の支払いによって刑は軽くされました。

三菱銀行人質事件

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1979年1月26日、三菱銀行北畠支店に猟銃を持った男が押し入り、30人以上を人質とする事件が発生しました。国内では初めてとなる死者が出た人質事件となりました。

1月28日、警察によって犯人が射殺されたことで事件は解決となりました。今でも犯人射殺によって解決した事件は、これを含め3件のみにとどまっています。

人質とした女子行員の服を脱がせ、全裸で一列に並ばせるなど、行動の節々に常軌を逸した行動が見られました。また、小さいことに癇癪を起す性格で、1度怒ると周りが見えなくなるという特徴があったようです。

脅しとして銃を持っていたのではなく、実際に4名を射殺しており、犯人は15歳で強盗殺人を起こしているなど射殺することに躊躇はありませんでした。

福島悪魔払い殺人事件

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1995年7月、福島県で悪魔祓いと称して信者7人に暴行を加え、死に至らしめたとして自称祈祷師の女とその信者らが逮捕されました。

悪魔祓いと言いながら太鼓のばちなどで暴行を加え、被害に遭った信者が逃げ出したことで事件が発覚しました。祈祷師の女の自宅では共同生活が行われ、亡くなってもまだ精神はこの世にあると信じ、遺体をそのまま家に置いていたようです。

警察が駆けつけると一部がミイラ化した遺体も発見されました。家の中は腐乱臭で異様な臭いを発しており、蛆虫も沸いていたようです。

エリザベス・スマート誘拐事件

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2002年6月にエリザベス・スマートがアメリカのユタ州で誘拐される事件が発生しました。家族や隣人に気づかれず連れ去ったことから話題になりました。犯人は森の中にある家に連れ込み、結婚のセレモニーをした後に強姦や虐待をしました。

犯人の顔を見た妹の証言を元に似顔絵を作成し指名手配されると、似た人がいるという通報があり、犯人とその妻、変装したエリザベスが発見されました。

当初犯人は精神障害があることで責任能力は無いとされましたが、その後の陪審員裁判によって有罪判決が下され、終身刑が言い渡されました。

オーストリア少女監禁事件

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1998年3月2日、オーストラリアのウィーンに住む当時10歳のナターシャ・カンプッシュが誘拐され、監禁される事件が発生しました。その後8年間に渡り地下室での監禁生活は続き、抜け出したところを警察に保護されたことで解決しました。

奴隷のように家事をさせられ、外に出ることも禁止されていたナターシャでしたが、1人になることが嫌なあまり犯人と一緒にいる時間を少しでも長くしようと努めていたようです。また、犯人は警察から逃れるために列車に飛び込み、自殺しました。

ナターシャは犯人を「かわいそうな人」と呼び、彼が死んだことを知ると涙を流して悲しんだようです。8年間に渡る監禁生活の中で、犯人と彼女の間に特殊な関係が築かれていたのでしょう。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは

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心に大きなストレスがかかると、自然と自身を守ろうとします。その結果、日常に戻ったとも普通に生活することが難しくなってしまう人は少なくなく、カウンセリングなどを受けても完璧に通常の状態に戻ることは時間がかかります。

これらの症状は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれています。ではどのような症状があり、治療法は存在するのでしょうか。

震災や事件後のトラウマ

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心的外傷後ストレス障害を発症するのには、様々な理由が考えられます。その中の1つに震災や事件後に大きなトラウマとなってしまうパターンがあります。

当たり前だと思っていた日常が一瞬で奪われ、通常の生活を送られなくなってしまうことで心に大きな負担がかかることが多くあります。特に震災では女性や子供、高齢者を中心に、長い間自宅に帰れなかったり知らない人との共同生活が始まったりするためトラウマになる人も多いです。

震災後は物質的なケアだけでなく、精神的なケアが必要となります。また、外傷のように見た目で深さが分からないため、被害者ぶっているなどと悪く言われることもあり、無理に隠してしまう人もいます。

家庭内暴力などによっても発症する

Girl Teenager Human - Free photo on Pixabay (649846)

家庭内暴力などによってPTSDが発症することもあります。これは小さいころからの虐待だけでなく、配偶者や自身の子供からの暴力も含みます。特に性的虐待の場合はPTSDが起こりやすく、大人になった後も異性が怖いと感じる人は少なくありません。

また、小さい頃に虐待されていた記憶を消そうとし、本当に小さい頃の記憶が失われる人もいます。PTSDは自身のトラウマと向き合う必要がありますが、辛い記憶を呼び起こしたくないと治療に積極的になれない人もいます。

PTSDの主な症状

Thermometer Headache Pain - Free photo on Pixabay (649855)

PTSDの症状は人によって異なります。また、1つの症状だけでなく、同時にいくつかの症状が出ることも珍しくありません。主な症状としては、常に興奮状態にある過覚醒や何もする気が起こらなくなる無感覚が挙げられます。

これに伴い、不眠、抑うつ、不安、集中力の低下が見られる場合が多いです。また、トラウマが何度も脳内で再現されるフラッシュバックが起こり、日常生活を普通に送ることが難しいと感じる人も少なくありません。

PTSDの治療方法の種類

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